1. ホーム
  2. 人工関節用語集
人工関節用語集
か
き
く
け
こ
外傷(がいしょう)
外部からの力によって受けた傷。骨折、捻挫(ねんざ)、靱帯損傷(じんたいそんしょう)、打撲(だぼく)などが含まれる。外傷を契機に関節症などの慢性疾患(まんせいしっかん)の症状が発症・悪化することがある。また骨折が慢性的に関節症の直接の原因となることもある(外傷性関節症)。
外旋(がいせん)
関節を挟んで心臓から遠い方を、骨の前面を外側にねじるような運動。例えば、股関節を中心にした場合、つま先が外側へ向くように大腿部(だいたいぶ)を回す動きなど。 ⇔ 内旋
外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)
膝関節や肘(ひじ)関節、足関節などの関節外側に位置する骨と骨をつなぐ靭帯。関節の過度の動きを制限し、安定性を得る。特に足関節の外側靱帯は“足首”の捻挫の際しばしば損傷し、痛みと腫れが生じる。通常ギブスやシーネなどの固定具を用いて、手術をしないで治療をすることが多い。
外転(がいてん)
身体の中心軸から、手足などが遠ざかるような動き。股関節における下肢、肩関節における上肢、足関節における足部、指と母指で見られる。例えば、立った状態で、伸ばした片脚を真横に上げる動きは、股関節に対して大腿骨〔(だいたいこつ)=下肢〕が外転している。
外反(がいはん)
四肢の関節の角度が正面から見て体の中心軸に対して、外側に反っている状態。膝関節において脛骨(けいこつ)が外反した状態が外反膝でX脚の原因となる。⇔ 内反
海綿骨(かいめんこつ)
骨の内部にある網目状の部分。海綿質(かいめんしつ)と呼ばれることもある。海綿骨の間隙に骨髄(こつずい)がある。 ⇒皮質骨
核磁気共鳴画像法(かくじききょうめいがぞうほう)
静磁場と変動磁場を用いて、生体の任意の方向の断層像を得る診断法。MRIとも呼ばれる。骨以外の軟部組織〔靭帯(じんたい)半月板(はんげつばん)椎間板(ついかんばん)、神経、脊髄(せきずい)〕を写し出すのに優れ、質的な診断もできる。整形外科領域では脊椎〔(せきつい)=首や腰〕、膝関節などでよく用いられる。
荷重(かじゅう)
体重をかけること。片足で立った状態であれば、その足に全荷重がかかっている。
過伸展(かしんてん)
膝関節や肘(ひじ)関節を伸ばす(伸展する)時、通常はまっすぐな状態(完全伸展位)までしか伸びないが、外傷や麻痺(ポリオなど)を伴う場合に、その位置を越えて、さらに伸びた状態をいう。人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)の後に起こることがある。
滑膜(かつまく)
関節包(かんせつほう)の内面を覆い、主に滑膜細胞と疎水性結合組織(そすいせいけつごうそしき)で形成された膜。関節軟骨の周辺に付着し、関節軟骨と共に関節腔(かんせつくう)を形成している。その生理機能は ①関節液〔滑液(かつえき)〕の産生 ②関節液との物質交換 ③関節の安定性(関節の隙間を埋める)に対する作用が挙げられる。リウマチ性関節炎では関節の中でも特にこの滑膜がおかされて炎症を起こし(滑膜炎)、痛みや変形の原因となる。
可動域(かどういき)
機能的な動作を行うために関節が動く範囲。「ROM(Range of Motion)」とも呼ばれる。 変形性関節症が進行すれば通常、可動域は減少する。その原因は、関節の変形〔骨棘形成(こつきょくけいせい)〕と筋肉拘縮(きんにくこうしゅく)である。人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)によって関節摺動面(かんせつしゅうどうめん)を整えても、後者のために正常の可動域に回復しない場合もある。
観血的治療(かんけつてきちりょう)
外科的手術による治療法で、一般的に出血を伴うことからこのように呼ばれる。内科的治療は「非観血的治療(ひかんけつてきちりょう)」(または保存的治療)と呼ばれる。
寛骨臼(かんこつきゅう)
骨盤の外側、寛骨の中央部のカップ状の陥凹部。大腿骨頭(だいたいこっとう)とともに股関節を形成する。
寛骨臼回転骨切り術(かんこつきゅうかいてんこつきりじゅつ)
成人の臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)に対して行われる手術法のひとつ。寛骨臼臼蓋の一部を球状に切り取り、外側に回転するように移動させて、大腿骨(だいたいこつ)の骨頭(こっとう)を支えられるような臼蓋をつくる手術法。「RAO(Rotational Acetablular Osteotomy)」とも呼ばれる。
患肢(かんし)
病気またはケガをしている手足。手術を受けた足のことを指す場合もある。 ⇔ 健肢
関節液(かんせつえき)
関節包(かんせつほう)の内部にある透明で粘り気のある液体。関節がスムーズに動くよう、潤滑液の働きをする。滑膜(かつまく)によってつくられ、滑液(かつえき)とも呼ばれる。ヒアルロン酸やたんぱく質等を含んでいる。
関節鏡視下手術(かんせつきょうしかしゅじゅつ)
関節鏡を用いて、テレビモニターで関節腔(かんせつくう)を観察しながら行うさまざまな手術を指す。1cm程度の小さな切開(せっかい)を2から3ヶ所つくることで済む。
関節唇(かんせつしん)
関節窩〔(かんせつか)=関節のくぼみ〕の縁を取り巻くようについている線維性の軟骨で、関節の安定性に寄与している。股関節の寛骨臼(かんこつきゅう)縁にあるものが代表的で、大腿骨頭(だいたいこっとう)を包み込むような形をしている。外傷や初期の変形性関節症において、関節唇損傷が股関節痛の原因になることがある。単純レントゲンではわからないがMRIや関節造影により診断される。
関節造影(かんせつぞうえい)
関節内病変に対する画像診断検査のひとつ。造影剤を関節内に入れて一般のX線検査では写らない関節軟骨関節唇の変化や関節内の腫瘤〔(しゅりゅう)=しこり〕を診断したり、関節を動かしながら関節内の病変を見つけるために行う検査。
関節軟骨(かんせつなんこつ)
骨の関節面を覆っている、スムーズかつ強靭で弾力性のある組織。構成成分として70%が水分で、そのほかコラーゲン、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸が含まれる。これらの物質は昨今サプリメントとして広く市販されているが、まだその効果について明確なエビデンス(証拠)のあるものは少なく、今後の研究を要する。
関節包(かんせつほう)
関節を囲んでいる袋状の被膜(ひまく)で、外側は線維性膜(せんいせいまく)で、内側は滑膜(かつまく)でできている。
関節リウマチ(かんせつりうまち)
全身の関節に痛みやこわばり、腫れなどを発症する炎症性関節疾患(えんしょうせいかんせつしっかん)、自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)の一種である。長期にわたり慢性的に症状が現れ、関節機能障害をきたすことが多い。近年、関節破壊の原因となる局所炎症物質(サイトカイン)を直接抑える薬(生物製剤)が次々と開発され、その内科的治療は飛躍的に進歩したが、破壊された下肢関節(股・膝関節)は人工関節の適応になることも多い。
関節裂隙(かんせつれつげき)
関節のすき間。膝関節の例では、大腿骨(だいたいこつ)脛骨(けいこつ)の間を示す。正常な関節では、実際にはここに関節軟骨などの組織が存在するのだが、レントゲン撮影では映らず、すき間に見えるため、このように呼ばれる。
気孔(きこう)
材料に含まれる微小な空隙。通常、人工関節材料と骨の結合を意図した材料の表面形状についていわれ、ポーラスとも呼ばれる。⇒ボーンイングロウス
臼蓋(きゅうがい)
寛骨臼(かんこつきゅう)の土手の部分。この部分の形成が生まれつき悪いと臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)となり、年齢とともに変形性股関節症になることがある。人工関節の固定の時もこの部分の骨がしっかりしていることが重要である。
臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)
寛骨臼(かんこつきゅう)の形態異常や大腿骨頭(だいたいこっとう)の巨大化のために、寛骨臼が十分に大腿骨頭を覆うことができなくなる状態を指す。
仰臥位(ぎょうがい)
仰向けで(天井を向いて)寝た状態。
金属アレルギー(きんぞくあれるぎー)
金属に含まれる成分が汗や唾液などの体液によって金属イオンとなり、炎症(赤み・かゆみなど)を起こすアレルギー反応のこと。ニッケルやコバルトなどを含む合金の装身具で起こることが稀にある。人工関節において起こることは非常に稀である。
筋肉拘縮(きんにくこうしゅく)
筋肉が縮んでしまい、伸びなくなること。関節可動域が制限される(狭くなる)原因になる。
筋膜(きんまく)
ひとつの筋またはいくつかの筋群の表面を包む結合組織の薄い膜。スムーズな筋の動きを助け、これを保護して一定の位置に固定する働きを持つ。
屈曲(くっきょく)
関節を曲げる動作で、接合している骨同士が近づく動き。⇔伸展
屈曲拘縮(くっきょくこうしゅく)
関節を伸ばした際に、十分に伸びきらず曲がった状態に留まってしまうこと。⇒屈曲
脛骨(けいこつ)
下腿〔(かたい)=すね〕の内側の骨。膝関節を構成する。足関節の内果〔(ないか)=内くるぶし〕を形成する。下腿の外側には腓骨(ひこつ)があり外果〔(がいか)外くるぶし〕をつくる。
頚体角(けいたいかく)
股関節正面X線像において、①大腿骨骨幹部軸(だいたいこつこっかんぶじく)と②大腿骨頚部軸(だいたいこつけいぶじく)のなす角度。通常125~130度。
頚部骨折(けいぶこっせつ)
通常、大腿骨(だいたいこつ)の股関節に近い部分(頚部/関節包より内側)で起こった骨折のこと。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を持つ高齢者の転倒時の骨折として非常に頻度が高く、放置すると寝たきりの原因になるのでほとんどが手術の適応となるが、骨頭部(こっとうぶ)の血流が悪くなりやすいため、人工骨頭挿入術(じんこうこっとうそうにゅうじゅつ)を行うことが多い。
血栓(けっせん)
動静脈の中で血液が固まることによって形成されたもの。血栓が大きくなると、血液の流れが悪くなる。静脈で形成された血栓が肺動脈に運ばれて詰まってしまうと、肺塞栓症〔(はいそくせんしょう)=いわゆるエコノミークラス症候群〕となり、呼吸困難をきたす。手術後、長時間にわたって脚を動かせない場合などに静脈血栓ができることがある。
腱(けん)
筋肉と骨を結合している強靭な線維性の結合組織。中年以降、アキレス腱断裂などのように、自分の力で切れることがある。
健肢(けんし)
病気またはケガをしていない手足。手術を受けていない足のことを指す場合もある。 ⇔ 患肢
後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)
大腿骨内顆顆間(だいたいこつないかかかん)を起始とし、脛骨(けいこつ)後縁に付着する膝関節腔内(ひざかんせつくうない)の靭帯。人工膝関節には後十字靭帯を残すタイプのものと、切ってほかの構造で代償するタイプのものがある。
硬膜外麻酔(こうまくがいますい)
脊髄(せきずい)の周りにある硬膜の外側にある空間に麻酔薬を注入する麻酔法。人工股・膝関節置換術の術後疼痛(とうつう)対策として、 腰椎(ようつい)硬膜外麻酔がよく用いられる。カテーテル(細い管)を使用して持続的に少量の薬を流し、痛みを軽減することで術後早期のリハビリテーションをスムーズに行えるようにする。
抗リウマチ剤(こうりうまちざい)
関節リウマチにおける炎症防止のために投与される薬剤の総称。異常化した免疫(めんえき)機能を正常にして、関節リウマチにより引き起こされる関節炎を沈静化させたり、関節周囲の骨破壊などを遅らせる作用がある。
骨移植(こついしょく)
生体の骨に欠損が生じた場合に行う骨の移植術。
自家骨移植(じかこついしょく):患者自身の移植片を採取し、他の部分に移植すること。
採骨部位としては腸骨〔(ちょうこつ)=骨盤〕が多い。
他家骨移植(たかこついしょく):他人から採取した移植片を移植すること。
③ 人工骨移植:ハイドロキシアパタイトやβ‐TCPなどの人工骨を移植すること。
骨壊死(こつえし)
骨組織〔骨梁(こつりょう)・骨髄(こつずい)〕の細胞が死滅すること。 ⇒ 壊死
骨棘(こつきょく)
関節面の軟骨が肥大増殖し、次第に硬くなって骨化して「とげ」のようになったもので、関節面周辺にできる変形性関節症の特徴的な所見のひとつ。レントゲンではっきり骨棘が見られると変形性関節症と診断する。
骨切り(こつきり)
骨の形状や位置を機能的に最適な状態になるように、骨を切る手術療法。局所の骨を部分的に切除することもある。⇒寛骨臼回転骨切り術
骨髄(こつずい)
骨の中に存在するゼリー状の組織。白血球、赤血球、血小板などの血液がつくられる。
骨セメント(こつせめんと)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)といわれるアクリル系高分子で人工関節を周囲の骨に接着固定するため使用される。人工股関節では最近、使用頻度が低下しているが、人工膝関節ではよく使用される。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
加齢などの理由により、骨の量が減少して構造上変化を生じ、骨の強度が低下して、全身的に骨折の危険性が高まった状態。
骨肉腫(こつにくしゅ)
骨から発生する悪性腫瘍〔(あくせいしゅよう)=骨原発悪性腫瘍(こつげんぱつあくせいしゅよう)〕でもっとも多く(約40%)、ひざ周囲の骨〔大腿骨(だいたいこつ)脛骨(けいこつ)近位〕に好発する(全体の75%)。若い人に多く10才台が中心。化学療法(抗がん剤)と患肢温存手術〔(かんしおんぞんしゅじゅつ)=人工関節〕、放射線療法などが行われる。
骨嚢包/骨嚢胞(こつのうほう)
変形性関節症などにおいて、軟骨損傷部から関節液などが骨に侵入し、骨の溶解が起こり、穴があいてしまった状態のこと。
骨溶解(こつようかい)
人工関節周囲の骨が溶けて固定性が失われる状態。レントゲンで骨透亮像〔(こつとうりょうぞう)=骨がぬけた所見〕がみられる。原因は人工関節材料(特にポリエチレン)の摩耗粉が生体反応を引き起こし、局所にサイトカインと呼ばれる骨溶解を刺激する物質が産生されるため。オステオライシスともいい、人工関節のゆるみの原因となり、時に再置換が必要になる。
コバルトクロム合金(こばるとくろむごうきん)
金属素材であるコバルト、クロム、モリブデンなどによる耐摩耗性に優れた合金。生体材料として人工関節に用いられる。