自治体の障害福祉課の担当者に伺いました
キーワード:人工関節手術の医療費、身体障害者手帳、障害認定、更生医療、高額療養費、申請方法
神奈川県茅ヶ崎市 保健福祉部 障害福祉課
窓口担当者
股関節や膝関節の人工関節手術を行おうとされる方の場合、障害認定基準に達している可能性が考えられます。障害認定を受けることで、条件を満たしていれば更生医療の制度が利用できるなどのサポートが受けられるようになります。
今回は、茅ヶ崎市役所にお邪魔して、障害者手帳や更生医療の申請窓口である障害福祉課の担当者にお話を伺いました。
(なお、各市区町村によって担当窓口の名称は異なりますので、ご了承ください。)
人工関節手術を受ける方は、どのような相談にいらっしゃるのでしょうか?
多いのは、障害者手帳の申請・取得
人工関節手術ということで来られる方は、年間で30~40人ほどになります。そのほとんどは、手術後に身体障害者手帳を取得するために来られます。
そのうち、年間に3~4人程度の方が、人工関節手術を受けるために更生医療の申請をされます。そういった方々は、指定医療機関で受診されていて、ソーシャルワーカーなどから更生医療のことを教えてもらったというケースが多いようです。
ちなみに、障害者手帳および更生医療の申請については、ご本人がいらっしゃる必要はなく、ご家族など代理の方でも構いません。
障害者手帳を持っていると、どのような助成があるのでしょうか?
自治体独自のものもある、多彩な助成制度
障害の等級によって異なりますが、さまざまな助成制度があります。身近なものでは、タクシー運賃の割引などが挙げられます。各種税金の控除や減免もありますし、各自治体独自の手当てや助成が設けられている場合も多いようです。
障害者手帳による助成などは、たくさんの制度がありますので、茅ヶ崎市では冊子を配布したり、新規で手帳を取得された方向けに説明会を実施したりしています。自治体によってさまざまだと思いますので、お住まいの市区町村の担当窓口に確認されるとよいでしょう。
更生医療とは、どういうものですか?
所得に応じて、医療費の自己負担額を軽減
更生医療は、18歳以上の身体障害者手帳の交付を受けている方が対象となるもので、対象となる障害の治療を指定医療機関で行う場合に、定められた期間内の医療費の1割と入院時の食事の標準負担額だけが自己負担となるものです。
さらに、世帯の所得の状況に応じて、1か月の医療費自己負担額の上限が2,500円、5,000円になるなどの措置が取られます。ただし、世帯の所得が一定額を超える場合は対象外となります。
なお、更生医療で治療が受けられるのは、各都道府県や政令指定都市が定めた指定医療機関のみです。治療を受けられる病院が指定医療機関かどうか事前に確認することが重要です。
| 所得区分 | 世帯の課税・収入の要件 | 上限額【月額】 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護世帯 | 0円 |
| 低所得1 | 市民税非課税世帯で受診者の年収が80万円以下 | 2,500円 |
| 低所得2 | 市民税非課税世帯で受診者の年収が80万円超 | 5,000円 |
| 中間所得 | 世帯の市民税所得割が3万3千円未満の場合で「重度かつ継続」に該当※ | 5,000円 |
| 世帯の市民税所得割が3万3千円以上23万5千円未満の場合で「重度かつ継続」に該当※ | 10,000円 | |
| 一定所得以上 | 世帯の市民税所得割が23万5千円以上の場合で「重度かつ継続」に該当※ | 20,000円 |
| (2009年6月現在) | ||
| ※:腎臓機能・小腸機能・免疫機能障害、高額医療が継続する方(疾病を問わず) | ||
医療費負担を軽減するという点で、更生医療以外にも高額療養費という制度がありますが、これはどのようなものですか?
国民健康保険などの保険扱いで、高額な医療費負担を軽減
医療費が高額となる場合、定められた自己負担限度額を超える分の医療費が払い戻される制度です。医療費の自己負担限度額は、年齢や所得によって異なってきます。
70歳以上の方は、病院窓口で支払う時点で自己負担限度額が適用されます。70歳未満の方の場合、病院窓口でいったん医療費の3割の自己負担分額を支払い、後から所得に応じた金額が還付されます。
なお、70歳未満の方でも事前申請を行うことによって、支払う時点で自己負担限度額までにとどめることができます。
また、国民健康保険の適用を受けている場合、各市区町村の保険年金課が担当窓口となります。その他の保険の適用を受けている場合、それぞれ担当窓口が異なり、社会保険であれば勤務地所轄の社会保険事務所、組合保険であればそれぞれの健康保険組合となります。
※高額療養費についての詳細は、本サイトの「気になる費用大公開-解説2・3・4」をご覧ください。
更生医療と高額療養費、どのような場合にどちらを申請すればいいのでしょう?
年齢と所得、かかる医療費の金額などを考慮して選択
高額療養費は医療保険制度に加入している方であればどなたでも対象となりますが、更生医療は申請される時点で障害者手帳の対象となり得る方もしくはすでに対象となっている方に限られます。
どちらも対象となる場合は、通常はどちらか一方を申請するのがよいでしょう。両方に申請を出しても、適用されるのはどちらか一方です。
申請には医師の診断書などが必要なのですが、これを病院で書いてもらうにも一通ごとにそれぞれ費用がかかります。人工関節手術を受ける方の年齢や経済状況をはじめ、世帯の状況、実際にかかる手術・入院費などによって、どちらを申請すべきかが変わります。家族や病院の方などと、しっかり相談されることをおすすめします。
なお、70歳以上の方は長寿医療制度が適用され、所得によって自己負担限度額が定められています。更生医療を申請しても、あまり負担額が低くならない場合がありますので、よく比較検討してみてください。
※長寿医療制度についての詳細は、本サイトの「気になる費用大公開-解説7」をご覧ください。
| 高額医療費 | 項目 | 更生医療 |
|---|---|---|
| 国民健康保険などの医療保険に加入している | 条件 | 国民健康保険などの医療保険に加入しており、障害認定を受けている |
| 年齢は不問 | 対象年齢 | 18歳以上 |
| 年齢と世帯所得によって異なる | 負担限度額 | 世帯所得によって異なる |
| 全国の病院 | 適用病院 | 都道府県もしくは政令指定都市が指定した医療機関に限る |
| 加入している健康保険の窓口(国民健康保険の場合は各市区町村の保険年金課)※ | 相談・申請 窓口 |
各市区町村の障害福祉課※ |
| (2009年6月現在) | ||
| ※:名称は各市区町村によって異なります。 | ||
更生医療の相談や申請をする場合、何か必要なものはありますか?
相談の際には、生活状況や障害状況などを把握
障害福祉課に相談にいらっしゃる前に、ご自身(申請対象者)の状況をしっかり把握しておいていただけると、相談がスムーズにできます。更生医療の申請の際には、窓口で状況などについてお話を聞かせていただくことになっています。いつ頃から発症しているのか、どのような治療をされているのか、現在の障害状況や生活の状況などをお伺いします。
もし、状況がわからないなどで、申請に必要な事柄を窓口の担当者が記入できないと、また別の日にご足労いただくことになってしまいます。
それから、申請は、必ず人工関節手術をする前、できれば1か月半くらい前に行ってください。事前申請が原則です。申請には時間がかかりますので、できるだけ余裕を持って、手術することが決まったら早めに窓口にいらしてください。
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| ※:自治体のWebサイトからダウンロードできるようになっている場合もあります。お住まいの自治体にご確認ください。 | ||
そのほかに注意すべきことや、アドバイスなどがあればお願いします。
所得の状況は「世帯」単位での判断
更生医療の申請の際には「所得状況が確認できる書類」が必要です。これは、同一の医療保険に加入している方を「世帯」と認定し、その「世帯」に属するご家族全員の所得を合算した状況に応じて、月額負担上限が設定されるために必要となります。
しかし、書類が用意できない場合でも、世帯全員が同じ市区町村にずっと住んでいらっしゃれば、こちらでお調べすることもできます。しかし、世帯のどなたかが別の市区町村に住んでいる場合や、その年の1月1日以降にその自治体に引っ越してきた方で移転の手続きから半年以上経過していない場合などは、市区町村側で世帯の所得状況をお調べすることができません。このような場合は、ご注意いただきたいですね。
また、市区町村によっては、独自の制度などを設けているところもあるようです。詳しいことは、お住まいの地域の担当窓口に問い合わせてみてください。

